大事なことを最初に言いますがクラスナホルカイの本を読もうと思っている方は、ぜひ『サタンタンゴ』(国書刊行会)を。今日は新訳も出ましたが、まずはこの一冊をおすすめします。

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今月は早川書房から
『北は山、南は湖、西は道、東は川』〔新訳版〕(ハヤカワepi文庫)
が発売されます。


本当に感じが悪い、としか…。
というのも、松籟社さんがご尽力されてこの本は2006年にすでに出版されており、
長らく品切れになっていたのですがノーベル賞受賞のタイミングで復刊を試みた、しかし
翻訳の権利が取得できなかった、ということが判明しています。

出版社って版元同士で出し抜いたりしないんだと思ってました。
文庫化するときは版権移るし、人気コンテンツとかだと版権とるためのコンペやったりしてるみたいだし。
なのでもちろん早川書房は法的には何ら問題ないにしても、本当に、「感じが悪い」な、と……。

まあもちろん早川書房だって、ハンガリー文学を読者に届ける気骨もってやってるならここまで感じ悪くもないんですが、
新訳の翻訳者は<上岡伸雄、丸山カタリン、甘利幸子>。
上岡伸雄さんはアメリカ文学での翻訳者の権威ですよね。
だからたぶんハンガリー語の原書から英語版の重訳で出るんでしょうか。
他のお二人はちょっと経歴がわからないです。
共著で筆頭にえらい翻訳者を置く場合、実際には監訳というか監訳ですらなく名前だけおいて翻訳を保証して出版するみたいなことが
慣習的に行われています。なので、上岡伸雄さんが実際に筆をとって書いている文章ではなく、2人が文章を書いているものである可能性も十分あるものと推察します。

早川書房はヨン・フォッセやクラスナホルカイ・ラースローがノーベル賞受賞したとたん翻訳を出版。
とにかく売れる見込みだけ立てば出すよ、ってことで商魂たくましいですよね。
端から見ていると誰も報われないビジネスをやってるよなーと思います。
だって読者からしても「すでに読んだことのある著者」がノーベル賞とってくれたほうがうれしいし、
がんばってマイナー言語の翻訳をやってくださっている翻訳者さんもノーベル賞文学賞受賞まで出版されないとなれば日頃の徒労感エグいだろうし。
かつ版元だって、ノーベル賞受賞時に本がある状態のほうが絶対良いじゃん。すぐ売れるし。
アニー・エルノーの受賞時には早川書房がこれまで品切れだった本を増刷して、良かったなーと心から祝福したものなのですが。
今回みたいに有名な翻訳者の名前で(しかも関係ない言語)商品価値だけ高めた状態で出版すりゃあ売りやすいだろうけど。
松籟社さんが一回訳してるから参照訳あって、その訳があることで売り出し方も初めて訳したときと労力全然違うのに、松籟社さんへ一報入れることもしないんだなー、と

わたしがここまで早川書房に不快感を抱くのは、自分の読んだ本で知る限りどれも校正が甘すぎて信頼感を失ってるからですね。
本を買う立場としては不良品つかませてんじゃねーよって思う。
以下に具体例を添付します。アトウッド『誓願』から。登場人物「ポーラ」が「ボーラ」になってても誰も気づかず出版してるような粗忽ぶり。(単行本初版本ですのでその後版を重ねて修正されている可能性はあります。文庫版は見てない)
一冊の本のなかでこれですからね。
字体の混在もめっちゃ多いです。「叱」と「𠮟」が同じ本のなかで混ざってるの、早川書房の本でしか見たことないです。

投稿者 kamunara_yes